囲碁にまつわる言葉(た)
2023/7/19

「古事記」
古事記と囲碁。何の関係があるのか。そう思われる方がほとんどではないかと思います。これから紹介する事はこじつけだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
古事記下巻に、仁徳天皇が吉備の国に行幸する際に詠んだ歌として、次のようなものがあります。
(行幸とは言うものの、嫉妬深い后に追い出された、恋しいクロヒメを追いかけての旅ですが。)
「おしてるや、なにはのさきよ、いでたちて、わがくにみれば、あはしま、おのごろしま、あじまさの、しまもみゆ、さけつしまもみゆ」
この歌の「おのごろしま」には、「淤能碁呂志摩」の文字が充てられているのです。
古事記編纂には、独自の文字を持たない日本では、漢字の音を借りて表しました。とすれば、可能な限り読み間違えのない文字を選ぶはずです。ということは、「ご」としか読みようのない文字として「碁」の文字を選んだことになります。囲碁が、古事記編纂時代に広く親しまれていた証左とは言えないでしょうか。少なくとも、漢文の読み書きができる人たちの間では。
と、ここまで書き進んできて、ふと心配なことが湧き起こってきました。「おのごろしま」と言えば、イザナキ、イザナミ二柱の神が、矛で掻き回して落ちた滴で出来た島でした。そこの場面はどういう表記になっているのでしょうか。すぐに調べました。ほっとしました。「淤能碁呂志摩」と表記されていました。