囲碁にまつわる言葉(も)
2024/6/27
吾輩は猫である【その3】
独仙と迷亭の対戦のその後
「なに、石を挙げて勘定しろ?やに物堅い性質だね。勘定しなくっても僕は負けてるから慥かだ」
「然し、極りがつかないから・・・」
「それじゃ君やってくれ給え。―――」以下中略
「ええ?一寸待った。四六二十四、二十五、二十六、二十七と。狭いと思ったら四十六目もあるか。もう少し勝った積りだったが、こしらえて見ると、たった十八目の差か。――何だって?」以下中楽
独仙君はいつの間にやら、床の間の前へ前へ退去して、独りで碁石を並べて一人相撲をとっている。―――以下中略
独仙君は無言の儘、白と黒で碁盤を大半埋めて了った。
囲碁の勝負は、一方が負けを宣言すれば終了します。これを「投了(とうりょう)」と言います。そうでなく、双方が打ち終わっても勝敗が明らかでないとき、駄目を詰め領地が数えやすいように整地します。そして領地の多寡を数えます。将棋やチェスが、駒を取られて試合が終了するのとは異なります。整地して数えるのは、相手が不在でも、両者がいなくても、第三者が代行して行うことができます。
また、囲碁は、相手がいなくても、独りで両者を兼ねて行うこともできます。これは、将棋やチェスでもできますね。相撲や柔道、レスリングの運動競技ではできませんが。
登場人物、迷亭・苦沙弥は、漱石の分身だと言われています。漱石の日常生活には、本人も周囲も正岡子規を始めとして、囲碁に親しむ環境が豊富にあったものと思われます。