囲碁にまつわる言葉(り)
2023/5/10
「和歌」
囲碁を詠んだ和歌を二首紹介する。両首とも、囲碁の別称である爛柯(らんか)を詠み込んでいる。爛柯については、「囲碁にまつわる言葉L(爛柯)」を参照していただきたい。平安時代、爛柯の故事が広く認知されていたことが窺える。また、囲碁が貴族社会に広く親しまれていたことも。
「古今集」から
「筑紫に侍りける時に、まかり通いつつ、碁うちける人のもとに、京に帰りまうできて遣わしける」紀友則
故郷は 見しごともあらず をの(斧)のえ(柄)の くちし所ぞ 恋しかりける
赴任地である筑紫の碁敵(ごがたき)に帰京してから贈った歌。故郷京都はむかしのように馴染み深い感じはしません。それよりも囲碁をあなたと楽しんだ筑紫での暮らしが恋しい。
「後撰和歌集」から
「院の殿上にてみやの御方より碁盤出ださせ給ひける、こいしけ(碁石笥)のふたに」命婦清子 (碁石笥については、「囲碁にまつわる言葉Q(碁笥)」を参照)
をののえの くちんもしらず 君がよの つきんかぎりは 打ち心みよ
上皇と女御が碁を打つことになった。傍に仕えていた命婦に命じて碁笥の蓋に一首書かせた。
この世が尽きるまででも、時間の許す限り、思う存分お打ちください。