囲碁にまつわる言葉(ろ)
2023/3/1
「菅原道真」
あちらこちらで、梅の花便りが届けられる季節になりました。梅の季節と言えば、この歌が思い起こされます。
「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」
この歌の詠み手、学問の神様と言われる菅原道真の残した著作に、漢詩詩集「菅家文草」があります。醍醐天皇に奏進されたものだそうです。その中に、囲碁を歌った漢詩があります。
手談幽静處 用意興如何 下子聲偏小 成都勢幾多
偸閑猶気味 送老不蹉跎 若得逢仙客 樵夫定爛柯
手談、爛柯は、囲碁にまつわる言葉のAとLで紹介しました。参照してください。
詩の意味は、次のようです。
静かな中、二人の手が語り合う。
打つ手を考えるのは、なんと楽しいことか。
石を打つ音はとても小さいが、
都のような地(じ)が築かれる勢いは壮大なものだ。
閑を偸(ぬす)んで打つ碁も趣があり、
年を取っても、碁を打っていれば耄碌しない。
もし碁を打ち合う仙人に逢うことができたなら、
かの木樵のように、きっと斧の柄を腐らせてしまうだろう。
この時代の貴族が、男女を問わず囲碁を嗜んだことは、広く知られています。菅原道真も相当な打ち手だったのでしょう。