囲碁にまつわる言葉(カ)
2025/2/25

「歌人馬場あき子さんの観戦」
令和7年2月25日の朝日新聞の記事から。朝日歌壇に選者を永く務めてこられた歌人馬場あき子さんが、退任されることになったそうです。馬場さんは、囲碁にも造詣が深くいらっしゃるようです。
昭和60年9月11日、羽沢ガーデンを会場として、趙治勲名人に小林光一十段が挑戦しました。この対局を観戦した歌人馬場あき子さんは、23首の歌を詠みました。
青畳雉子(きじ)絵の屏風立ちゐたり いまだ人なき対局の部屋
打つとなき音やはらかし沈黙の 階調ありて布石はなやぐ
名人はうら若ければ 紅(くれない)の頬してゐたり長考の間を(名人このとき29歳)
榧の肌ほのか匂ひて榧山の 魑魅(すだま)来てをり碁打つほとりに
雁行の黒石切れて 思わざる事起るべし菊咲くしじま
間髪をいれずに受けたる一石の 礫なるかも棋譜を狂はす
封じ手の眠る一夜をしみじみと銀河傾き秋深むなり
以上で、第1日目が終了し、翌日に打ち継がれたのです。
観戦後の馬場さんの言葉が残されています。
「隅っこで小さくなって観戦させていただき、至福の時を過ごしました。整った序盤から局面が動く中盤へと移るところに、無類の面白さがあります。同時に厳しいものだなと感心させられました。」
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