囲碁にまつわる言葉(ヨ)
2025/3/10

「狂詩と狂歌」
江戸時代中期に活躍し、東の蜀山人、西の銅脈と並び称された京都の狂詩作家である銅脈。囲碁を詠んだ作品が残されている。
観棋 棋を観る
日待庚申待 日待ち庚申待ち
寄逢偶打棋 寄り逢いて偶々棋を打つ
漸覚四目殺 漸く四目殺しを覚えしが
未知二間飛 未だ二間飛びを知らず
下手横好忘飯時 下手の横好き飯時を忘れ
助言見請責合危 助言謂われて責め合い危うし
思案仕尽下石処 思案し尽くし石を下ろす処
堰耶劫耶濠無知 堰か劫か濠(くら)くて知る無し
庚申の日の夜、眠っているうちに、体内の虫が、天帝に平素の行いを告げ口する。告げ口をもとに、天帝から罰を受ける。それをさせないように、庚申講の仲間と徹夜をして眠らないようにする。江戸時代に庶民の間に流行した庚申信仰の行事。朝になって虫が体内から出られなくなるまで、たっぷり時間がある。暇つぶしに囲碁(棋)をしたものだろう。そのときの笊碁を揶揄した歌である。囲碁の初歩的な手を知らないことを茶化して詠んでいる。ただし、銅脈が笊碁であったかどうかは別の問題である。むしろ、相当な打ち手であったと考えたほうが自然かも。