囲碁にまつわる言葉(リ)
2024/12/17
「光る君へ(NHK大河ドラマ)」
第48回「物語の先に」のプロローグの場面である。道長(出家している)が 、独りで囲碁を打っている。と言っても、まだ4手目までである。そこへ、妻倫子がやって来る。少しの会話の後、道長が5手目(黒石)を打つ。それに対して、皇統を我が家から永続させましょうと言いながら、倫子が6手目(白石)を打ち下ろす。そしてその場を離れていく。
この場面の直前に、倫子はまひろから、道長とまひろとの馴れ初めとその後の経緯を聞いたばかりである。そして、複雑な思いを抱えたまま、道長の前へやって来たのである。
この場面で小道具として囲碁の用具を使ったのである。その意図を脚本家から聞きたいものである。
わたしなりに考えてみた。
・貴族の素養として囲碁は大切にされてきた(琴棋書画)。貴族の日常を写すのに好都合な材料である。
・道長も倫子も囲碁の素養を身につけている。ルールを理解し、石の持ち方も雅である。
・ここでは、まだ手数が進んでいない。着手の意味(手談)や勝負としての形勢等は問題にされていないようである。
・倫子が、白石を打ち下ろした。白石は上手(うわて)の持つ石である。普段なら、道長に対して白石を持つことは憚られる。
倫子の道長に対する強い意思を表現したものと解することができるのではないか。この意思は、帝の母である彰子にも受け継がれていることは、ドラマの進展の中で明らかにされていく。