囲碁にまつわる言葉(d)
2022/6/13

「にぎり」
にぎりと聞いて、何を思い浮かべるだろうか。普通、握り寿司か握り飯ではないだろうか。あるいは、用具や器物の手で持つ部分のことを思い浮かべるかもしれない。
囲碁好きなら、別の意味を思い浮かべる。力量が互角の場合の先手・後手を決める方法である。その方法は、次のようにする。
普通年長者か格上の人が、碁笥の中から任意の数の白石を握って、盤上に相手に見えないように手のひらで伏せて置く。これに対して、対戦相手は、碁笥の中から黒石を1箇か2箇盤上に置く。1箇なら、「伏せた白石が奇数ならわたしが黒で、偶数ならわたしが白です。」という意味だ。2箇なら、「伏せた白石が偶数ならわたしが黒で、奇数ならわたしが白です。」という意味になる。これを見て、年長者は伏せた手をどけて、白石を数える。奇数・偶数がはっきり分かるように、2箇ずつ盤上に並べる。
これで、どちらが白でどちらが黒か決まる。そのまま対局を始めるか、今持っている碁笥を交換してから始めるかすることになる。