囲碁にまつわる言葉(L)
2021/12/22
囲碁の別称「爛柯(らんか)」
柯は、斧の柄のこと、爛は朽ち果てること。
中国の晋の頃、王質という樵がいた。ある日、仕事のため山奥深く入った。そこで、木陰の涼しそうな所で、数人の童子が碁を打ったりして楽しそうに遊んでいるのに出会った。碁好きの王質は、たまらず傍に寄って眺めた。すると一人の童子が、「これを食べればいつまでもお腹が空かないよ。」と言って、ナツメの実のようなものをくれた。食べてみると、なるほど腹は空かないし喉も渇かない。それからずっと碁を眺めていた。やがて、夕方近くになって童子たちが碁をやめたので、王質も帰ろうと、傍に置いた斧を取ろうとした。するとどうしたことか、斧の柄は朽ち果て、刃は錆び付いてしまっていた。不思議なこともあるものだと思いながらも王質は家路についた。帰った村の様子がいつもと違った。会うのは見知らぬ人ばかり。自分の家は荒れ果てて周りの景色も変化している。通りかかった人にここは王質の家のはずだがと尋ねた。「遠い昔の話だが、確かに王質という人がいた。しかし、ある日山の中へ行ったきり行方不明になった。近くに王質の7代目の子孫が住んでいる。」という話をしてくれた。
この話は、記録された書物によっては、碁を打っているのは女性であったり仙人であったりする。
夢中になり、時の経つのも忘れるくらいの囲碁の魅力から、爛柯は囲碁の別称となりました。乙姫の心地よいもてなしに夢中になって、時の経つのも忘れた浦島太郎に通ずるところがありそうです。