囲碁にまつわる言葉(m)
2022/9/21
囲碁九品(いごくぼん)
中国の南宋時代に著わされた「玄玄碁経」という囲碁の書物に、九つの段位に相応しい品格として示されている。
囲碁の九段~初段に対応する品格は以下の通り。
- 入神:(九段、名人)棋聖の域に達した者の品格。
- 坐照:(八段、準名人)坐ればたちまち盤を照らす実力者の品格。
- 具体:(七段、上手)完全ではないが実戦では攻守ともに強い者の品格。
- 通幽:(六段)碁によく通じ、碁の妙を知り尽くした者の品格。
- 用智:(五段)もっぱら智に頼る者の品格。
- 小巧:(四段)布石、中盤、終盤、その他万事の巧者の品格。
- 闘力:(三段)力だけで相手を倒す者の品格。
- 若愚:(二段)力不足だが、弱そうで強い所のある者の品格。
- 守拙:(初段)力が弱いので定石を守り、戦いを退ける者の品格。
素人では意味がよく分からないが、その域に達した人には味わい深いものであろう。なお、晴れて初段になることを、入品(にゅうぼん)と言う。
これらは、今でも囲碁の段位免許状の文面として使用されている。面白いのは、プロ棋士もアマチュアも、免状の文面がまったく同じだということだ。プロの場合は、氏名の後に「棋士」と付け加えられることだけが異なる。勿論、実力は天地の差がある。プロの初段に9目置いて勝てれば、アマチュア初段と言われるくらいである。また、九段はプロだけに許される段位である。
下に示すのは、三段の免状である。次のように読む。「きでん きどうしゅうしん しゅぎょうけたいなく ようやくじゅくす これによって さんだんを めんきょせしおわんぬ なおもって べんれいじょうたつの こころがけ かんようたるべきものなり よって めんじょう くだんのごとし」