囲碁にまつわる言葉(r)
2022/11/12
「賭け碁」
囲碁で金品を賭けることは、昔から行われてきた。お金のほか、綾、絹、綿、馬などが賭けられた。
源氏物語の「竹河」の巻では、藤侍従の姉妹が、庭の桜を賭けて打つ場面が描かれている。また、「宿木」の巻では、帝と中納言薫との対局が描かれている。いずれも、「賭け物」を先に2勝した者が獲得するというルールで対局している。
桜を賭けた対局の絵
他に、今昔物語から二例紹介する。
延喜期の頃、僧寛蓮が、醍醐天皇と金の枕を賭けたとある。
もう一例は、横浜に縁がある。金沢区六浦にある上行寺(じょうぎょうじ)の開山者「日荷(にっか)」が夢の中で、次のようなお告げを受けた。
「『称名寺』の仁王像二体を『身延山』にお連れするように」
日荷は称名寺に掛け合ったが、許されるはずもない。ところが、称名寺の住職が、「わたしに碁で勝ったら譲りましょう。」と言うではないか。
碁で勝った日荷は、無事身延山へ仁王像を納めた。帰途、榧の木を持ち帰って上行寺境内に植えた。
上行寺の境内には、今榧の大木が育っている。偶然かどうか、榧は碁盤の材料として珍重される木材である。(囲碁にまつわる言葉(p)太刀盛り参照)
上行寺境内・左方に榧の木