囲碁にまつわる言葉(i)
2022/8/10
「読む」
自分のこれから打とうとする手を考え、それに対する相手の応手を予測する。予測した手に対する最善の自分の応手を考える。それに対する相手の応手は、・・・延々と予測を重ねていくことを、手を「読む」と言う。読んだ結果を「読み」という。これが一本線のように進めば簡単である。実際は、相手の応手を何通りも考える。それに対する自分の応手も何通りにもなる。力量のある棋士は何時間もかけて、読みふける。あらゆる可能性を予測し、最善の手を選ぼうとしているのである。
力量の低い打ち手は、こうはならない。そんなに多くの手を考えつかないからである。短時間で種が尽きてしまう。また、得てして予測や応手が間違っていることがある。これを「勝手読み」と言う。自分だけが正しいと思い込んでいる読み間違いである。
これら頭の中で考えていることは、碁盤の上に現れることは稀である。たとえ何十とおり考えようと、その中の1手しか打てないからである。何十分の1に対して相手の応手も何十分の1である。
だから、打ち手の頭の中を覗かないかぎり、考えていることは分からないのである。