歩こう!!神奈川 歴史散歩 2023年見学会ブログNO13
連載『鎌倉名越街道を歩く~今年のブログは鎌倉(南東)方面です~』
今年の見学会(1回目)は、9月19日(火)に鎌倉を予定しています。毎月2回(10日と25日更新)のブログ内容は『鎌倉名越街道を歩く』としました。今回は、前回に続いて見学予定の寺【日蓮宗・安国論寺 立正安国論(写真は境内の碑)】を紹介します。
【立正安国論とは?】安国論寺は1253(建長5)年安房国から鎌倉入りした日蓮聖人が草庵を結ばれた場所に創建されました。ここで国の安泰と人々の幸せを願い『立正安国論』を執筆されました。さて、その『立正安国論』とは?
鎌倉時代の仏書で1260(文応1)年、日蓮聖人39歳の著作です。日蓮真筆は1269年筆のものが千葉県市川市中山法華経寺に残っているそうです。原文は漢文体で、旅客と主人との10番の問答から成っています。当時の鎌倉は天変地異が打ち続き、1257(正嘉1)年8月の大地震は特に激しさを極め、住民の困苦甚だしく、日蓮はまる3年をかけて、災難の原因と災難退治の方法を仏書に求め、前執権の北条時頼に上呈しました。題名『立正安国』とは、正法を建立して国土を安泰にするという意味です。正法に対する邪法としては、法然の念仏を挙げていますが、現世を離れて来世の極楽往生を願うことに宗教の役割があるのではなく、この国を仏国土化しようとする大切さを訴える主張が見られます。『立正安国論』の献上は、幕府の反感を買い、以後絶えず幕府の迫害を日蓮は受けることになります。しかし、迫害によって日蓮の立正の情熱はいっそう高まり、法華経体験は深まったので、本論は日蓮の宗教の出発点として尊重されています。以下、本論のほんの一部を紹介します。
客人が来て言った。このごろ、まさに天変地異が続き、さらに飢饉や疫病が広まっています。人ばかりか牛や馬までが死んでしまい、その死体は道のあちこちに見られます。ある人たちは念仏を唱え、または病が治ると信じられている『薬師経』を読み、同じく病が消滅するという『法華経』や『仁王経(にんのうきょう)』に書いてある言葉を選んで唱えたり、たくさんの僧侶たちが祈祷したり、真言を唱えたり、あるいは座禅を組んで悟りを求めたり、さらにまた、まじないの札を貼ったり、政治を行なう者たちは、できるかぎりの救済の手を差し伸べたりしています。しかし、これらの効果もなく、状態はますます悪くなっています。とは言え、冷静に考えてみれば、太陽や月星の動きがおかしくなっているわけでもなく、仏教なども盛んに行なわれています。昔、八幡大菩薩は、王を百代まで守るとおっしゃったのに、まだ百代になる前に滅びてしまうのでしょうか。何がどのように間違っていて、こうなってしまったのでしょうか。
主人は言った。そうですか。実は私もこのことを悩んでいました。ならばここでいっしょに語り合おうではありませんか。今の世の中に対しては、神仏の力も無力に見えます。そこで、私は自らの貧しい能力を用いて経典を読んでみますと、正しい教えが行なわれていない、ということに気づきます。この理由から、神仏も国を捨てたようになってしまっているのです。その代わり、悪い魔や鬼が現われ、多くの災難が起こるのです。正しい教えが行なわれていない、ということこそ、人々が知らねばならないことです。
(立正安国論現代語訳より)
【住所・アクセスは?】鎌倉市大町4-4-18 電話:0467-22-4825
9:00~16:30 拝観料は100円
【古都鎌倉 見学会 問い合わせや参加申込み】メール tsk-tour@yokohama-tsk.jp です。
- 連載『鎌倉名越街道を歩く』 次号NO14は、8月10日頃を予定しています。