私の老いの友
2022/3/19
学校へ出かける日の朝、髭をあたっていると緊張感を伴った既視感に襲われる。
私は現在、学校という場で二種類の活動を行っている。一つは理科支援員で、コロナ禍のもと安全に気を配りながら理科実験の手伝いをしている。今一つはキッズの学習アドバイザーで、キッズの子どもたちに算数や理科工作を指導している。
出かけるときの気分は現役時代と同様、緊張と億劫さと肩こりで足取りが重い。それがいったん子どもたちと活動を始めるや、「すご~い」「楽しい」から「ありがとうございました」と、歓声と感謝の言葉をシャワーのように浴びて、帰りの足取りは嘘のように軽い。「塩酸は鉄を溶かす強い力があるが、子どもたちには人の心を溶かすミラクルパワーがある。」水溶液の実験中、私が感じることである。
現在の私にとって、始める前の緊張感と終えた後の充実感はコインの裏表、必要な『老いの友』である。 【しょうちゃん】