1月読書会報告「待っている女」山川方夫作−恋人?もどれる時?− - 横浜市退職小学校長会

1月読書会報告「待っている女」山川方夫作−恋人?もどれる時?− 

2024/1/27

 松の内気分が早々に抜けました。横浜は、辛夷や梅の蕾も膨らみ花開くこの頃です。1月25日(木)関内青少年センター地下2階に14人の皆様が集まり、山川方夫作「待っている女」の読書会が開かれました。感想・意見14人14色で「これぞ読書会!」面白かったです。

寒い日の朝、主人公の「彼」は「妻」とちょっとした喧嘩をし、妻はアパートの部屋から家出します。「また実家か」と全く気にしない彼、ところが、気になります。若い美女がじっと2、3、6、10時間と同じ場所に立っているのが。煙草屋で見つけ、2階の共同便所の窓から見続け、相手の恋人を空想し、心配し、行ったり来たり。夜の11時近くには煙草の「憩」が5箱。そして真夜中に戻った「妻」と「若い美女」のミステリアスな二重写し。

皆様の感想は・・

彼は仕方のない人。(共感多数)

美女へは手を差し伸べたいが、妻へは無関心。最後は夫婦の絆を取り戻せる希望。

夫婦でもそれぞれの生き方。男は妻の一端を理解できただけ。

男女の違いはある?この状況なら誰でも気になるでしょ。

若い美女と妻が同じ行動、妻の言葉「待っていたのよ。また元気を出してあなたとの生活に戻れる時がくるのを」に愛しさを感じる。

夫の彼はひとりよがりの「ばかな奴」。

昭和の歌謡曲「私 待つわ」を連想。

恋人として待ってくれる女が男の願望だよ。そう「神田川」もある。

美女への思い違いに恥じたり、バカと言われたりする間抜けな姿も可愛いと思ってほしいな。

独りきりになると自分を取り戻せるという都会的な孤独感と昭和の風景が懐かしい。

煙草「憩」という名詞だけで生活状況も浮かばせる描写力が印象的な作品だね。

軽く読めるが2、3回読み直すと人の本質を突いてくるから面白い。

・・等々でした。

 作者は、35歳の若さで交通事故で亡くなったそうです。

 次回は2月22日(木)に時代小説、長谷川 伸作「山本孫三郎」です。

 次年度の文学旅行は9月24日から26日、2泊3日で岐阜県を巡ることに決定。皆様どうぞコロナ禍に留意して下さいませ。

◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦読書会広報部◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦

 

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