11月読書会「鎌倉長谷文学散歩」楽しかったです。
11月19日(土)は朝からスカッと秋晴れ、14人全員集合。賑わう駅前の1番線でバス乗車。空いていました。長谷東町で降りたのも私たちだけ。「主馬盛久頸座」碑の説明を受け「吉屋信子記念館」まで細い道を行き、すぐ到着でした。長い肌色の土塀の先に折戸、くぐるときに2人頭をこつん。ご用心です。広い数寄屋風の邸宅で訪問はやっぱり私たちだけ。応接間、和室、書斎、寝室等すべてゆっくり過ごさせて頂きました。どの部屋も広い窓から明るい光や庭の木々の花が感じられます。大正期に「少女小説」というジャンルを確立し、「良妻賢母」だけではない女性の「人間としての生き方」を求め続けた作家でした。同時期に活躍した女流文学者たちの資料も豊富です。肩の広い眼光鋭い写真ですが、繊細な美意識の溢れるお屋敷に住んでいらしたのですね。
鎌倉文学館も空いていました。駅前の大勢の人たちはどこに?と思うほど。静かな館内で「没後35年 澁澤龍彦 高丘親王航海記」特別展を見学。平城天皇の第三皇子で67歳の時に留学僧として唐へ、さらに天竺へ渡る途中にマレーで虎に襲われた親王の物語特集です。実在のモデルと作者自身とが入れ替わったり、言葉を発せない忠実な儒良(ジュゴン)や鳥女、春王の生まれ変わりが出たり、薬子の象徴のような真珠が死を表したり、展示は漫画混じりで分かり易く、内容は幻惑混じりで分かり難く、まるで屈折した「死者の書」です。庭園に出て「焼き芋カフェ」を見てほっとひと安心。芝生から見上げる文学館が青空に輝いていました。庭園も含めて本当にお洒落な洋館です。
静かな旧諸戸邸のバルコニーや工事中の加賀谷邸を見ながら長谷の鎮守様「甘縄神明神社」に到着。鎌倉最古の神社、711年に行基草創とあります。頼朝の流人時代からの側近「安達盛長」邸跡で、「北条時宗」産湯の井、万葉歌碑などが遠慮がちに残っていました。鳥居と石段は立派です。川端康成作「山の音」に登場する裏山の社です。川端邸は、しっかり門扉を閉ざし私道に入れない状態。年月が凍ったままの和風邸宅です。
14人でぽかぽか陽気の中、のんびり最終地の長谷寺をめざします。長谷駅が近づくと車と人波がどっと増え、騒がしくなり、これが「観光地かまくら」だと納得しました。長谷寺内のレストランで予約の「精進カレー」を頂き、お茶とおしゃべり、楽しくて時間を忘れました。歴史と文学が密接に結ばれていることを実感できる6500歩の鎌倉散歩でした。海も紅葉も綺麗な11月です。そして混まない鎌倉長谷散歩はお薦めです。幹事さんに感謝です。
鎌倉文学館
◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦ 読書会広報部 ◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦