12月読書会報告 三島由紀夫作「百万円煎餅」
2021/12/24
師走23日に、11人で課題作品「百万円煎餅」を話し合いました。
若い夫婦の前向きで堅実な生き方に共感する意見多数、ただし、2人の
言動や浅草六区の情景描写に引っ掛かりを覚える意見も多数、
「何?」「とんでもない」とのけ反るラストへの反応や伏線となる文を
探す意見、1960年当時の初任給1万から、百万円は夢の大金との意見も
多数でした。百万円煎餅をかじりながら「新世界」を巡る2人の肉体の美しさ
や描写のない生業への疑問、感覚のずれ、ギャップ、アンバランスさを突く
意見等活発な話し合いでした。確かに店の様々な鏡に映され恥じらう清子の
愛らしさが一変する展開は驚きです。物の世界にどっぷりつかる美しさって
何??? 「新世界」の露台から、詳細に周囲を見渡す2人がその夜、詳細に
見られる側になるという二面性や最後の場面、健造にとって「百万円煎餅」が
手に余る甘美なものに変身するという指摘にも目が回ります。
(広報係は、この作品は当時の若者たちがのめり込んだ安保闘争への
アンチテーゼぐらいにしか読めませんでしたから)
他にも象徴的な描写が色々と・・たとえ消えゆくブログでも報告し難いショータイム・・
さすが、16篇ある短編集の表題となる作品でした。三島由紀夫は鬼才の大小説家です。
皆様、どうぞ、よいお年を! コロナ変異株を防いで参りましょう。
新年1月27日は、森 茉莉作「贅沢貧乏」の予定。美学の世界が続きますね。
---- ーーーー ---- 読書会広報部より ーーーー ーーーー