4月読書会報告「洲崎パラダイス」

令和4年度第1回読書会「洲崎パラダイス」の報告です。初めに年間計画等の説明。
うん、うんと頷いていた13人、宮城県在住の会員S氏の文学旅行参加に、歓迎
の声が上がりました。
読書会では、「洲崎パラダイス」の地理院地図が配布され、掘割に囲まれた遊郭
と洲崎橋跡を確認。運河に囲まれています。昭和32~33年制定の売春防止法直前の
遊郭境界線上に立つ女と男の物語です。今とは、かけ離れた極貧の中でドロドロに
濁る感情の濃さを突く意見。蔦枝の逞しさ、したたかさに感心?する意見。
義治の焦燥と執着、殺気、嫉妬、無気力な姿の描写に驚く意見。娼婦を買いに橋を
渡るのがごく普通に描かれていること。東京出身で高学歴、経済学者を夫に持つ
作者の女たちへの思い等等。持ち金も無くあてもなく、宿屋を出た2人の6日間の
短編に対して、様々な感想が交わされました。焦点化されたのは、蔦枝の急激な
心変わりについてでした。金が力、安定した暮らしが幸せー全てを叶える落合を
捕まえたのに、散々嫌悪した男へ走る心情を表す描写が次々とあげられました。
義治は会社の金を盗んで失職、その男に「娼婦の世界」から救われた蔦枝。
運河の水嵩が増して、上流へ上流へと押してゆく激しい水の勢いのまま、
また宿屋へ走る女の姿。洲崎橋のたもとで2人を救った飲み屋のおかみさんは
人間味あふれる人です。「これからどうやって生きてゆくつもりか、どうせは堕ち
てゆくより道がないだろう。」溜息のようなおかみさんの思いが印象的でした。
ひっそりとしずまる昼下がりのラストシーンは、冒頭シーンの夕暮れの淡紫の空に
そのままつながり夜になって行きます。・・と暗く哀しく激しい小説でした。フウ・・
皆様、かなり深読みでした。 来月はもっと明るいのがいいです! 😁🤷♂️🤷♀️🤣
◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦ー読書会広報部よりー ◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦
先号ついでのクイズ解答
玉鬘・・たまかずら 帚木・・ははきぎ 萌黄・・もえぎ 浅黄・・あさぎ 蓬生・・よもぎ 御法・・みのり
山藍摺り・・やまあいずり 賢木・・さかき 訝し・・いぶかし 揶ふ・・からかふ