4月読書会報告「洲崎パラダイス」 - 横浜市退職小学校長会

4月読書会報告「洲崎パラダイス」

2022/4/29

令和4年度第1回読書会「洲崎パラダイス」の報告です。初めに年間計画等の説明。

うん、うんと頷いていた13人、宮城県在住の会員S氏の文学旅行参加に、歓迎

の声が上がりました。

読書会では、「洲崎パラダイス」の地理院地図が配布され、掘割に囲まれた遊郭

と洲崎橋跡を確認。運河に囲まれています。昭和32~33年制定の売春防止法直前の

遊郭境界線上に立つ女と男の物語です。今とは、かけ離れた極貧の中でドロドロに

濁る感情の濃さを突く意見。蔦枝の逞しさ、したたかさに感心?する意見。

義治の焦燥と執着、殺気、嫉妬、無気力な姿の描写に驚く意見。娼婦を買いに橋を

渡るのがごく普通に描かれていること。東京出身で高学歴、経済学者を夫に持つ

作者の女たちへの思い等等。持ち金も無くあてもなく、宿屋を出た2人の6日間の

短編に対して、様々な感想が交わされました。焦点化されたのは、蔦枝の急激な

心変わりについてでした。金が力、安定した暮らしが幸せー全てを叶える落合を

捕まえたのに、散々嫌悪した男へ走る心情を表す描写が次々とあげられました。

義治は会社の金を盗んで失職、その男に「娼婦の世界」から救われた蔦枝。

運河の水嵩が増して、上流へ上流へと押してゆく激しい水の勢いのまま、

また宿屋へ走る女の姿。洲崎橋のたもとで2人を救った飲み屋のおかみさんは

人間味あふれる人です。「これからどうやって生きてゆくつもりか、どうせは堕ち

てゆくより道がないだろう。」溜息のようなおかみさんの思いが印象的でした。

ひっそりとしずまる昼下がりのラストシーンは、冒頭シーンの夕暮れの淡紫の空に

そのままつながり夜になって行きます。・・と暗く哀しく激しい小説でした。フウ・・

 皆様、かなり深読みでした。 来月はもっと明るいのがいいです!  😁🤷‍♂️🤷‍♀️🤣

◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦ー読書会広報部よりー ◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦

 

先号ついでのクイズ解答

玉鬘・・たまかずら  帚木・・ははきぎ  萌黄・・もえぎ  浅黄・・あさぎ  蓬生・・よもぎ  御法・・みのり 

 山藍摺り・・やまあいずり  賢木・・さかき  訝し・・いぶかし  揶ふ・・からかふ

 

 

 

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