7月読書会報告 中野重治詩集ーお前は歌うな と歌った詩人

久し振りの詩集への読書会、司会の方のアイデアでお一人ずつ好きな詩を音読して魅力を語り合いました。
皆様の選んだ詩を紹介します。
p-178「その人たち」・・共産主義者の受けたのとは別な 共産主義者の親であるものとしての迫害に堪えたその人たち・・
p-53「波」・・波はたえまなくくずれている 波は走ってきてだまってくずれている 人も犬もいない・・
p-45「垣根にそうて」・・いまこそわかった あの少年のように おれも誰かに小包が送りたかったのだ・・
p-19「しらなみ」・・しぶきは窓がらすに霧のようにもまつわってくる ああ 越後のくに 親しらず市振の海岸・・
p-26「わかれ」・・あなたはあなたの体の悲しい重量を知っていますか それはわたしの両手をつたって したたりのように・・
p-140「雨の降る品川駅」・・辛よ さようなら 金よ さようなら 君らは雨の降る品川駅から乗車する・・
p-166「十月」・・空のすみゆき 鳥のとび 山の柿の実 野の垂り穂 それにもまして あさあさの 冷たき霧に・・
p-21「爪はまだあるか」・・爪はまだあるか お前のおもかげをたずねて 私は鏡のなかに目をつぶる・・
p-51「女西洋人」・・あの人の騂くなるのをみているうちに おれや少しずつ悲しくなってきたがなあ どうしておれには・・
p-40「はたきを贈る」・・大学まえの一軒の荒物屋の店さきに吊してあったのだ 金五銭だったのだ・・
p-13「大道の人びと」・・どこからともなく彼らはやって来た よわった紋つきの男は高島易断の人相見を・・
p-156「Imprmptu Ⅰ」・・たかい書物を買いこんで おれはまたもや気がふさぐ そうしておれは思い出す・・
「雨の降る品川駅」が重なりました。作品に息づく感覚、鋭さ、優しさ、ユーモア等を語り合いました。
風や女の髪の匂いを歌うな!と歌い、治安維持法や特高の弾圧を跳ね返す勇気、「機関車」と「きくわん車」に
共通するリズミカルな実直さ等への共感が出ました。「作者が後書きで述べた自作の詩は不満足だらけという意味は?」
という疑問には、「雨の降る品川駅」の一節、・・君らは雨にぬれて君らを追う日本天皇を思い出す 髭 眼鏡 猫背
の彼を思い出す・・の伏字部分を戦後も一部、復活させなかった例が挙げられました。主義主張に固まり過ぎた結果、
人への侮蔑語を色々な闘争歌に使った自責の念があったのではという意見に説得力がありました。
よりよく生きて死ぬためにも詩の世界は大切ですね。
暑いさなか集まって下さった14人の皆様、有難うございました。9月27日出発の福井文学旅行には最終17人ご参加
予定です。細案も出ました。1泊9000円の高級ビジネスホテル2連泊、グルメも体験も、楽しみです。🤷♂️🤷♀️😜😊
◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦ 読書会広報部 ◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦
ガラスの森に読めない本が・・。