8月読書会の報告ー「土の中の彼女の小さな犬」-雨の続く心象描写ー

2025/9/11

朝から焼け付くような日差しの続く8月28日(木)、12人のメンバーが青少年育成センター研修室に集合、9月の文学旅行に関連する読書会を持ちました。遅くなりました。報告致します。長い題名ですが短編。村上春樹ワールドが色濃く感じられる作品です。

登場人物は「僕」と「女性」のみ。舞台は、雨の降り続くリゾートホテルのレストラン、図書館、プールサイド、閉ざされた個室。起承転結は無く隠喩は多く、人の心のゆれを伝える文章の指摘が出ました。若い「女性」の右手の甲を見つめる動作やコロンの匂い、無表情な動きが伏線という意見、題名が象徴するものは人間のトラウマ、表の筋と並行する裏の筋が魅力的等多くの意見が出ました。描写の中から女性経験豊かで裕福、人との繋がりを深めず洗練された「僕」の魅力と弱さも煙草、推理小説、電話等のキーワードから明らかになりました。その「僕」のシャーロックホームズばりの観察力が「女」の人となりを当てるゲームとなり、彼女の心のとげを突き刺します。・・つまり、ぼくが無意識のうちに相手の中にある不必要な何かを引き出してしまったらということですか?」「まあ、そういうことね。」・・僕が掘り起こしてしまったのは「庭」の「土の中」に埋めたはずの彼女の心のとげ(最愛の相棒だったマルチーズの木棺を掘り起こしても無感動の自分への嫌悪感)と右手に残り続ける愛犬の死臭(多分罪悪感)でした。

題名は人の心に潜む自己嫌悪のようなもの(作家風に表すと)しつこく振り続ける雨は主人公の固い防衛本能のようなもの。電話は2年3か月続いた彼女との関係修復イコール人との関係見直しの象徴のようなもの。雨が上がるとともに電話の回数が増す。直接会わずとも繋がろうという思い。ラストは時空を超えて相手を見つめる人間性の復活が描かれている。とのことでした。

そして村上ワールドへの感想は2つに分かれました。ー面倒な男と女の主張の弱過ぎる眠くなるような金持ち階層の世界ー手のひらを握り「石鹸の匂いだけ。」と女性を救う「僕自身のラストシーンの美しい世界・・貴方は、どちらでしょうか。

9月24日(水)から2泊3日の名古屋・蒲郡文学散歩の1日目に「海辺の文学記念館」を見学します。村上春樹を多角的に発見できる文学館とのこと。楽しみにして下さい。

◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦ 読書会広報部 ◊♠♣♥♦◊♠♣♥♦

 

 

 

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